RFP(提案依頼書)をまとめよう!作成のポイントを解説!
公開日:2019/01/31 更新日:2022/10/02
ホームページ制作を制作会社に依頼する際の提案依頼書「RFP」をご存知でしょうか。
RFPは「Request For Proposal」の略で、ホームページ制作の目的や要件をまとめた資料のことです。少し難しい印象もありますが、事前にRFPを用意しておくことで、ホームページ制作の過程での行き違いや、完成してから「考えていたのと違う」ことになるリスクを減らすことができます。
今回の記事では、RFP作成のポイントを初心者の方にもわかりやすくお届けします。
RFP(提案依頼書)とは
RFPは、ホームページ制作会社やシステム開発会社に、制作の提案してもらう前に、発注する側が作る「提案依頼書」と言われる資料です。発注側が資料をまとめなければならないことに、疑問を感じる方もいるかもしれませんが、Webやシステム制作の要件は細部にわたるもの。あいまいな希望を口頭で伝え、見当違いな提案に時間を費やすことは、両者にとって非効率です。提案時の正確さや効率をあげるため、そしてプロジェクトが進行してからの行き違いを防ぐためにも、まず発注者側がRFP資料をまとめることは大切です。
また、RFPは、複数のホームページ制作会社に相見積もりを取る際にも役立ちます。同じ条件を明確に提示すれば、各社の提案や見積書の比較も容易です。
さらに、ホームページ制作やシステム導入にあたっての、社内の意思統一にも有効です。多くの方がご存じのように、IT技術のトレンドやできることは日々進化しており、ともすれば「あの機能もつけたい」「この機能もつけたい」となりがちです。プロジェクトの目的や必要な機能、予算をはっきりさせ、稟議を通したり、社内に情報共有をしたりするためにも、RFP資料は役立ちます。
このように、一見手間がかかってしまうRFPですが、ホームページ制作会社への提案の段階で固めておけば、制作の依頼をスムーズに進めることができます。
RFPの基本項目
専任のWeb担当者やIT担当者がいない会社では、RFPを作ること自体のハードルが高いと思われることもあるかもしれません。しかし、大切なのは、プロジェクトの目的や、やりたいことをはっきりと伝えること。システムや技術の要件で判断に迷う項目があれば、「検討事項」や「相談事項」として明確にしておけば、まったく問題ありません。
ここからは、RFPに必要な基本項目を具体的に見ていきましょう。
プロジェクトの概要
- プロジェクト名(○○サイトリニューアルプロジェクト)
- ホームページのURL
- プロジェクトの背景
- 現在抱えている課題
- プロジェクトの目的
- ターゲット層
- プロジェクトのゴール(目標)
- 会社の基本情報
- 予算規模
- 公開希望日
- 提案・検討のスケジュール
プロジェクトが走り始めた段階で、上記すべてを決める必要はありません。ただし、「プロジェクトの目的」「プロジェクトのゴール(目標)」「予算規模」の3項目は、提案依頼書に最低限必要な項目です。これをあいまいにしていると、制作会社から良い提案が受けられない一因になりますので、しっかり固めておきましょう。場合によっては、制作会社と相談しながら決めることもあります。
新しいホームページに必要な要件
- 想定するコンテンツ量(メニュー数、ページ数)
- モバイル対応、レスポンシブ対応の有無
- 常時SSL対応の有無
- CMS利用希望の有無(自社内での更新を希望するか)
- ブログ機能、会員登録機能、EC機能などの有無
- 想定する利用者数、取引額、商品数の規模(とくにECサイトの場合)
レスポンシブ対応やSSL対応、CMS利用などの要件は、制作会社によって対応できないところもあります。また、会員登録機能やEC機能なども、会社によっては扱っていないところもあります。RFPを作成することで、制作会社選びにも役立つのです。
ホームページ制作会社に提案を依頼したい内容
- サイト構成(企画、設計)、仕様書の作成
- サイト制作(デザイン、コーディング)
- コンテンツ制作(記事作成、写真撮影など)
- SEO対策(必要な場合)
- 新しいドメイン、サーバの提案・初期設定(必要な場合)
- 広告・集客施策の提案(必要な場合)
- 運用・保守計画の提案(必要な場合)
RFPを作成する目的の一つが、「制作会社に何をしてほしいか」を明示することにあります。自社と制作会社の作業分担を明文化することで、「やってくれるだろう」という認識の違いによるトラブルを未然に防げます。
なお、依頼内容によっては予算オーバーになったり、制作会社では対応できなかったりすることもあります。優先順位をつけて「必ず提案してほしい内容」「できれば提案してほしい内容」と分けておくと、スムーズに進められます。
検討に必要な資料
- ホームページ制作会社の会社概要
- 企画資料
- サイトマップ案
- TOPページデザイン案
- コンテンツ案
- 制作スケジュール
- 制作体制図
- 見積書(概算費用)
- 過去の制作実績や導入事例
制作会社選びなどに役立つ、自社でそろえておきたい資料の一覧です。
その他補足情報
- 参考情報
競合サイトのURL、デザインや機能の参考にしたサイトのURLなど - 検討事項
判断に迷う項目、制作会社に相談して決めたい項目など - 現状のサーバ状況、システム状況
すでに使用しているサーバ情報、CMSの利用状況、アクセス解析やSSLの使用状況など - 必要な納品物の定義
デザインデータ、htmlファイル、使用画像、原稿、操作マニュアルなど必要に応じて指定する - 権利の所在
ホームページそのものの権利や、記事・写真等のコンテンツの権利がどちらに属すか
制作会社と共有したい情報があれば、できるだけRFPに記載しましょう。競合サイトや参考デザインなどの共有項目が多いほど、制作会社から提案される完成イメージの相違を防ぎやすくなります。
また、不要なトラブルを避けるために、納品物の定義や権利の所在についても事前に確認しておくとよいでしょう。
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コツをおさえてより良い提案を受けよう!RFP作成の留意点
上記はRFPの基本的な項目ですが、ホームページ制作会社から、自社の制作意図にあった良いアイデアを引き出すためには、下記のようなポイントをおさえておくことも有効です。ホームページ制作会社が、発注者側の状況をくみ取りやすくなるような補足情報を提供することで、提案や相談の内容がより具体的になります。
わからないこともリストアップ
技術的な不明点や、自社の知識ではわからないことは、遠慮なくホームページ制作会社に相談しましょう。「検討事項」「相談事項」なども項目で、わからないことをまとめておけば、ホームページ制作会社からのアドバイスも受けやすくなります。
参考サイトの情報を提供
ベンチマークする競合サイトや、「こんな風なサイトをめざしたい」という参考サイトなどがあれば、それらの情報も提供しましょう。ホームページ制作会社は参考サイトを分析し、意図を組んだ提案をできるようになります。
プロジェクトのゴール(目標)の共有
可能であれば、プロジェクトの具体的な目標をホームページ制作会社に共有しましょう。たとえば「PV数を、現状○件から○件へ」「ホームページからのお問い合わせ数を、現状○件→○件へ」などです。数値目標は指標としてわかりやすく、ホームページ制作会社は目標から逆算して必要なコンテンツや集客戦略などを具体的に提案できるようになります。
まとめ:形式にこだわらず、まずは作ることが大切
このように、RFPは一見難しそうですが、項目を網羅することにこだわる必要はなく、重要なポイントのみをまとめるだけでも十分です。大切なのは「自社のやりたいこと」「制作会社の担当区分」「提案してほしいこと」をクリアにすること。自社のホームページ制作の意図を伝えることを大切に、ホームページ制作会社とのスムーズな依頼とコミュニケーションをめざしましょう。