「ネット炎上保険」の保証はどこまでなのか?

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SNSの普及にともない、テレビや雑誌などのマスメディアでも、SNS上の「炎上」騒ぎが取り上げられるようになりました。SNSはいまや、企業の広報にもかかせないツールですが、ひとたび炎上すれば、企業は大きな損失を被ることになりますので、何らかの対策が必要です。

このような時代背景を受けて、近年では「ネット炎上保険」という保険商品が人気を呼んでいます。この記事では、ネット炎上保険とはどんなものなのか?はたして「使える」ものなのか?を探っていきます。

ネット炎上保険とは?気になる補償内容は?

ネット炎上保険は、主に法人を対象に「ネットが炎上したときに、炎上に対応するために支出した費用を補償する」サービスです。

一般的に、企業やお店がトラブルを起こしたり、コンプライアンスに違反するような行動や発言をしたりすれば、Twitterや掲示板などに一斉に批判的なコメントが寄せられます。このような「炎上」が起きれば、企業は謝罪や、評判を回復するための対策をしなければなりません。

炎上への対応は、多岐にわたります。たとえば、「問い合わせに答えるための窓口設置」「外部コンサルタントへの原因調査の依頼」「謝罪のための記者会見」「商品の回収」「謝罪広告」「弁護士への法律相談」などです。炎上保険では、このような炎上対策にかかった費用が補償金として支払われます(どこまでの費用が対象かはサービス提供会社によって異なります)。

しかし、「炎上」という言葉の定義はあいまいです。どのような状態になると「炎上している」と判断されるのでしょうか。

現在、販売されているネット炎上保険の多くは、インターネット上のリスク対策専門会社と保険会社が連携し、ネットを監視する「モニタリング」と「保険」をセットにしたサービスとして販売されています。

モニタリングサービス会社は、インターネット上に対象のキーワードとネガティブワードが関連付けて書き込まれていないかを日々チェックし、一定の基準以上の量のネガティブワードが検出されたときには、被保険者に通知を行います。また、モニタリングの結果が、保険会社が定めた基準を満たしていれば「炎上した」と認められ、その対応にかかった費用に対し、補償金が支払われるという仕組みになっているのです。

費用はどのくらい?ネット炎上保険の具体例

このように、ネット炎上保険は、SNSを多用する企業にとっては、非常に心強いものですが、具体的にはどのようなプランが、いくらくらいで提供されているのでしょうか。現在、販売されている代表的なネット炎上保険を調べました。

ネット炎上対応費用保険:損害保険ジャパン日本興亜(株)/(株)エルテス

炎上監視サービスwith保険:(株)エルプランニング/三井住友海上火災保険(株)

炎上保険:シエンプレ(株)

「炎上補償サービス」との違い

また、炎上保険と似ていて異なる「炎上補償」というサービスもあります。

「炎上保険」は、Webリスク対策会社と保険会社が協力し、ネット監視サービスと炎上時の対応費用の補償をセットにして販売しています。一方、「炎上補償」はWebリスク対策会社が単独で提供するサービスで、インターネット上のモニタリング、リスク分析と炎上時のコンサルティングなどを行うサービスです。炎上時の対応費用の補償はありませんが、導入費用が比較的安いこと、炎上を未然に防ぐ施策に注力していることが特徴です。

ネット炎上後の対応・対策も重要

万が一ネットが炎上したら、原因の追究や鎮火に向けた取り組みなど、企業には迅速な対応が求められます。しかし、この対応を誤るとさらに炎上する可能性もあるため、慎重に進めなければなりません。

対応策は状況に応じて多数ありますが、炎上後に「やってはいけない行為」にはいくつかの共通項があります。万が一に備えて、炎上後の対策を確認しておきましょう。

炎上したコメントをすぐに削除しない

問題となっているコメントについて、会社として公式の謝罪やコメントを発表するまでは削除しないのが基本です。炎上したことに焦って早急に削除したい気持ちもわかりますが、公式コメントの発表前に削除すると、「隠ぺいしている」という誤解や「不誠実な対応だ」など、さらにネットを炎上させる一因につながる可能性があります。

削除する際は、事前に謝罪コメントや削除する理由を説明したうえで実施しましょう。

会社の方針が決まる前に謝罪しない

迅速な対応が求められるとはいえ、会社としての方針が定まらない段階で謝罪コメントを発表すると、かえって炎上を長引かせることもあります。よくあるのが、状況を正確に把握しないうちに担当者の判断で謝罪コメントを出し、その後、二転三転するケース。こうした対応ミスが、企業としての信頼を損ねることにもつながりかねません。

炎上を起こした担当者は、迅速に上司や関係部署へ周知し、会社としての対応を検討したうえでコメントするのが、沈静化への第一歩です。

該当アカウントには不用意なコメントを慎む

炎上がマスコミなどで報じられると、そのアカウントが世間から注目を集めることになります。そこに、通常なら問題にならないコメントであっても「反省していない」「不誠実だ」などの非難が寄せられる場合もあります。

炎上したアカウントは、沈静化するまでは最低限の情報発信にとどめ、不用意なコメントを掲載しないようにしましょう。なお、アカウントを削除すると不要な誤解を与えるおそれがあります。早急に削除するのではなく、しばらく様子をみて判断するのが賢明です。

ネット炎上保険には、こうした事後対応のコンサルティングサービスまで含んでいる商品もあります。会社としての対策や判断に迷ったら、専門家に相談するのも一手でしょう。

炎上しないことを第一に

「ネット炎上に備えなければならない」という意識の高まりは、関連するサービスの多さからもうかがえます。

インターネット上の評判が、敵にも味方にもなる時代。保険やネット上の監視などのほかにも、「SNS運用ポリシーを定める」「従業員にSNSモラルに関する教育を行う」「炎上時の対応を決めておく」などの自社内でできる対策を講じておくことが必要です。

また万が一炎上してしまった場合は、事後の対応が非常に重要になります。仮に自社のアウトプットが炎上してしまった場合、すぐにそれを取り消してしまうと、企業として過ちを認めてしまうことにもつながります。

炎上時には冷静な判断ができないことも多いため、第三者としてネット炎上保険をはじめとする専門家に頼るほうが賢明かもしれません。

SNSやホームページをよい方向に活用できるように、ぜひ予備知識を持って備えておきましょう。

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