eコマースの隆盛を支える物流業。インフラとしての重要度も増すばかりです。
そんな物流業界企業のホームページには、どんな役割が求められているのでしょうか?
大手物流企業、中小物流企業の実際のホームページ事例から紐解いていきましょう。
【事例付き】製造業のホームページに必要なコンテンツを考えるでもお伝えしましたが、ホームページのコンテンツに正解はなく、各企業の戦略に基づいてホームページをどんな立ち位置で活用していくかによって必要なコンテンツは変わってきます。
ここでは、アイデアベースでコンテンツ例を挙げていきますので、コンテンツ設計のヒントとして活用していただければと思います。
物流業のなかでも宅配業務を行う企業様の場合、ホームページ上で荷物の配送状況がわかるとユーザーの利便性が向上します。これはBtoBでも有効だと考えられます。個々の荷物の配達状況の開示までは難しいという場合でも、配送車の運行状況がリアルタイムでわかるなど、運送状況が確認できる仕組みを用意できると良いでしょう。
船便や航空便による物流を行っている企業様であれば、運行スケジュールを掲載することでユーザーの利便性を向上させましょう。利便性だけでなく信頼性、安心感につなげる効果も期待できます。
宅配・配送業などの場合、Web上で依頼や予約が行える仕組みがあるとユーザーの利便性が向上します。
フォームによる受付対応が難しい場合は、電話受付を行っていることを周知するなど、ホームページを閲覧したユーザーが依頼のアクションを取れるような情報を掲載しておくことが大切です。
自社が物流業においてどんな強みを持つかを訴求するコンテンツです。見込客や顧客、採用応募者、パートナー企業、株主、はては競合他社まで、あらゆるユーザー層に周知すべき情報です。
どんな業界であっても、事業を行うなかで多かれ少なかれ環境に対する負荷をかけているため、自社で取り組む環境活動を周知するコンテンツは必要だと考えられますが、特に物流業の場合、輸送に伴うエネルギー消費やCO2排出など環境負荷と直結するイメージがあるため、環境への取り組み姿勢を打ち出すことは重要だと考えられます。
ヤマトホールディングス株式会社が100%出資する宅配中核事業会社であるヤマト運輸株式会社のホームページです。
モバイルファーストなUIで「荷物のお問い合わせ」「荷物を受け取る」「荷物を送る」の3つはページ下部にフローティングメニューとして設置されており、ページのどこを閲覧していてもすぐに遷移できるように工夫されています。
主なコンテンツは以下の通り。
全体的に「情報を届ける」ためというより「ユーザーがホームページで何をしたいのか?」を追求したつくりになっている点が特徴です。個人向けの「クロネコメンバーズ」、法人向けの「ヤマトビジネスメンバーズ」といった会員限定サービスへの導線も設けられています。
運送事業大手のSGホールディングス子会社の佐川急便株式会社のホームページです。
主なコンテンツは以下の通りです。
ヤマト運輸のホームページとは対照的に、自社の取り組みを発信する性格の強いホームページとなっており、モバイルよりもPCからの閲覧を重視したUIという印象。ユーザー層として「荷物の送り主・受け取り主」よりも、ステークスホルダーや採用応募者が想定されていると考えられます。
どちらが良いとは一概にいえず、各社の戦略によりホームページに担わせる役割が異なる結果だといえるでしょう。
郵政民営化で誕生した郵便局株式会社を前身とする日本郵便株式会社のホームページです。 事業としては「郵便」「金融」「物流」の3事業を行っていますが、ホームページの比重は郵便>物流>金融の順になっているという印象です。
トップページのファーストビューに「郵便番号を調べる」「追跡サービス」「郵便局を探す」の3つのメニューへの導線が設けられています。
主なコンテンツは以下の通り。
「ソーシャルメディア一覧」「CMギャラリー」「ぽすくまと仲間たち」「キッズサイト」といったユーザーと企業の距離を縮めるようなコンテンツにも力を入れており、ブランディングが図られています。
三菱グループの中核企業として日本の3大海運会社の一つで最大手、世界でも有数の海運会社である日本郵船株式会社のホームページです。
主なコンテンツは以下の通りです。
老舗のBtoB企業であるためかもしれませんが、大手企業のオーソドックスなコーポレートサイトの体裁を取っており、特に流通業特有のUIやコンテンツ設計は見受けられませんでした。
業界最大手の総合物流(陸運)事業者で、災害対策基本法において定公共機関にも指定されている日本通運株式会社のホームページです。
物流業のほか、引っ越しや倉庫業、旅行業も手がけており、メインビジュアルにそれぞれの事業への導線が設けられています。
主なコンテンツは以下の通りです。
同社もBtoBビジネスを手がけていますが、トップページに「国内の輸送状況検索」「海外の輸送状況検索」の検索窓や、営業窓口検索ページへの導線が設けられており、ユーザーのニーズを追求したコンテンツ設計となっています。
※これら3つのメニューはページ上部にフローティング
日本の三大海運会社の一つで三井グループと三和グループに属する株式会社商船三井のホームページです。少し古い印象のホームページですが、コーポレートサイトとして必要なコンテンツが揃っており、動画コンテンツが目を引きます。
主なコンテンツは以下の通りです。
顧客や見込客に特に比重を置いたコンテンツ設計ではなく、株主などのステークスホルダー、採用応募者など多方面へ向けてバランスよく情報発信する目的でホームページを運営していることが伺えます。
フェリーで九州・四国・東日本を結び、物流と旅客を手がけるオーシャントランス株式会社のホームページです。
グローバルメニューには、「船舶案内」「乗船料金」「運航スケジュール」「のりば案内」「予約案内」「乗船方法」と、旅客関連ページへの導線が並び、右端にはWeb予約ページへのフローティングメニューと、主に乗船客向けに運用されているホームページであることが伺えます。
右上には、電話番号が掲載されており、電話による問い合わせや予約もしやすいレイアウトになっています。
主なコンテンツは以下の通りです。
車両、機械・設備などの輸送向け梱包事業を中心に、住宅関連事業も展開する株式会社マブチのホームページです。
企業情報とは別枠で強み訴求コンテンツに4ページを割いており、「梱包のプロ」としての強みの訴求に重点を置いたホームページになっています。
主なコンテンツは以下の通りです。
グローバルメニューの右上には、「お問い合わせ」と並んで「採用情報」へのボタンが配置されており、強みの訴求が見込客や顧客だけでなく、採用応募者にも向けられていることが伝わってきます。
グループ会社で食品トレーメーカーのエフピコ株式会社の物流会社としてスタートして40年、現在は他社製品の物流も手がけるエフピコ物流株式会社のホームページです。
主なコンテンツは以下の通りです。
コーポレートサイトとしてオーソドックスなつくりを持ち、顧客、見込客、採用応募者のほか、ビジネスパートナーの応募企業もターゲットとしたホームページとなっています。
バイク便からスタートから半世紀以上も物流を手がけ、現在は、トラック便、航空便、医療機器やイベント機器などの特殊輸送と幅広くサービスを展開しているアイシーエクスプレス株式会社のホームページです。物流のほか、保管管理サービス、帳票印刷サービスも手がけて、いずれもBtoBとなります。
主なコンテンツは以下の通りです。
基本的なコンテンツ設計は、オーソドックスなコーポレートサイトの体裁となっていますが、グローバルメニューに貨物お問い合わせ用の検索窓が設けられています。
全国のチェーンストアや食品スーパーをターゲットに、簡易食品容器などの資材消耗品を小分けにしたうえで納入する業務を主軸とする株式会社アイ・ロジックのホームページです。
BtoB企業のニッチな事業を展開しているためか、サービス内容を周知することに比重を置いたコーポレートサイトの体裁が取られています。
主なコンテンツは以下の通りです。
物流会社としての強みや企業方針などが明確に打ち出されたホームページとなっています。
物流業界と一口にいっても事業内容はさまざまですし、ホームページを通して打ち出したいイメージや発信したい情報、解決したい課題も企業ごとに異なるでしょう。
まずは、どんなホームページのターゲットを誰にするかを明確にする必要があります。既存顧客なのか?見込客なのか?配送元なのか受取先なのか?新卒などの採用応募者なのか?ビジネスパートナーなのか?株主なのか?それによって掲載すべきコンテンツも導線設計も変わってきます。
もちろん、こうした戦略段階からホームページ制作会社と一緒に作り込むことも可能です。コンサルティングも含めてホームページ構築を希望される企業様は、当サイトのマッチングサービス(掲載無料)を、ぜひご利用ください。
合わせて読みたい