外食産業や中食産業が市場を伸ばしています。背景には、核家族や単身世帯の増加や女性の社会進出の拡大があります。今後、核家族が減り単身世帯が増加するとみられていますが、市場拡大は今後も続くでしょう。
一方で、食中毒や消費期限切れなど食の安全を脅かす事件が世間を騒がせ、消費者が食の安全性に求める要求も高まっています。
このような状況に置かれた飲料・食品業界の企業がホームページに設けるべきコンテンツとは何でしょうか?事例とともにご紹介していきます。
飲料・食品業界にも、飲食店、メーカー、小売りなどさまざまな業態があるため、共通して絶対にコレが必要というコンテンツはありませんが、「食」をキーとしたコンテンツ案をご紹介します。
メーカー系なら商品の、店舗系ならメニューの一覧を掲載しましょう。企業サイトの基本的なコンテンツともいえますが、飲料・食品業界の場合、シズル感のあるおいしそうに見える写真がポイントになってくるので、掲載写真にはこだわりましょう。
食中毒や消費期限切れなど、食の安全に関する事件が後を絶たず、消費者の食の安全に対する意識も高まっています。企業姿勢として、どのようなリスク管理に取り組んでいるか、自社の商品が安全である根拠をユーザーにわかりやすく示す必要があるでしょう。
FSSC22000、JFS-C、JGAP、HACCPなど食に関する第三者の認証を受けている場合は、証明書の写真を掲載するのも良いでしょう。
前項と同様、「食の安全」に関するコンテンツですが、前項が理屈で安全性をうったえるのに対し、こちらは感性とイメージにうったえる方法です。 作り手の顔や現場が見えると、消費者に安心するもの。舞台裏を見せられるということは、それだけ提供者に誠意や自信があるのだと捉えられるからです。
どの業界の企業であっても社会貢献活動の取り組みについてWebサイト上でアピールすることは大切ですが、飲料・食品業の場合、フード・ロスや飢餓、食糧危機といった「食」に関する問題解決への貢献活動が期待されます。 大きな活動でなくても良いので、食糧問題に意識を向けている姿勢を示せると良いでしょう。
飲食店、小売店の場合は、来店者が迷わずたどり着けるよう、地図の掲載が必須になります。Google MapやMapFanといった外部の地図サービスはもちろんですが、目印になる建物などを記載したオリジナルのアクセスマップがあるとさらにわかりやすいです。
ここからは、飲料・飲食業のWebサイトの実例をご紹介していきます。各社、Webサイトを通して実現したい目標(店舗誘導、ECサイト誘導、お問い合わせ、ブランディングなど)があり、それらに沿ったコンテンツを用意していることがご理解いただけるのではないでしょうか。
最初にご紹介するのは、静岡県を中心に関東エリアで居酒屋やレストランなど多様な飲食店ブランドをチェーン展開する株式会社フーディアム・インターナショナルのWebサイトです。
主なコンテンツは以下の通り。
来店時、予約時に利用できるような、予約フォームやクーポン発行、幹事様スペシャルプレゼントといったコンテンツが設けられています。
明治23年創業、銀座で和菓子店を営む株式会社菊廼舎本店のWebサイトです。芸能人が差し入れに使うこともある有名な冨貴寄(ふきよせ)という干菓子を販売しています。
別サイトにオンラインショップもあり、右上のフローティングメニューから遷移できるようになっています。
主なコンテンツは以下の通り。
競合との差別化ポイントとしては、歴史と商品がクローズアップされ、写真と文章で訴求されてる点が挙げられます。
博多で鶏料理専門の料亭として創業し、100年の歴史を持つ老舗、株式会社新三浦のWebサイトです。
トップぺージのメインビジュアルをはじめ、各ページで随所に写真が大きくあしらわれ、同社の強みを直観的に伝えています。
主なコンテンツは以下の通り。
「旅行代理店様へ」や英語サイトなど、国内外の観光客を視野に入れたコンテンが設けられているのは、同社の戦略によるところでしょう。
フルーツタルトに定評のあるフランスのケーキ、お惣菜、焼菓子などを販売する「フロプレステージュ」を運営する株式会社フロジャポンのWebサイトです。商品の写真が大きくあしらわれ、食欲をそそります。
主なコンテンツは以下の通り。
取扱商品数が多いため、商品紹介ではカテゴリのほか利用シーンや価格帯などの条件から商品を探せる検索窓が設けられています。
「店舗物件募集」では出店を誘致してくれるテナントを募っており、同社の店舗数拡大を目指す戦略姿勢が伝わってきます。
養蜂場から創業して80年、はちみつメーカーとして卸売りやOEM製造、小売りまで手がける株式会社クインビーガーデンのWebサイトです。はちみつのほか、メープルシロップも取り扱い、ナチュラル・スイートのトップメーカーを目指しているといいます。
主なコンテンツは以下の通り。
はちみつは天然物であるため、自然界に広く常在しているボツリヌス菌の芽胞が混入することがあります。一歳未満の乳児が口にすると腸管内でのボツリヌス菌の定着と増殖が起こりやすく、乳児のボツリヌス症を発症することがあり、死亡事例も確認されています。
同社では、取り扱い商材のはちみつカテゴリの目立つ位置に注意喚起を掲載しており、食の安全に対する責務を果たす姿勢が示されています。注意喚起のすぐ下には「おいしくて安全な産地限定ハニー」のキャッチコピーが大きく記載され、不安の払しょくに努めています。
1982年の創立以来、40年近くもドイツワインを専門に扱っている輸入商社、ヘレンベルガー・ホーフ株式会社のWebサイトです。生産者を日本に招く、スタッフを現地に長期滞在させるなど、生産者とのつながりを大切にしています。
主なコンテンツは以下の通り。
会員ページは、年会費を払うとその年に収穫したワインが届く「ぶどうの樹3本」のオーナー向けのページとして設けられています。 「ヘレンベルガー・ホーフのこだわり」「生産者紹介」あたりから、同社が生産者と顔の見える付き合い方をしていることがわかります。
ブログページではイベント情報のほか、生産地での滞在レポート、スタッフ日記、会社の紹介などバラエティに富んだ情報が発信されており、同社の姿勢が伝わってくるようです。 コーポレートサイトながらコンテンツの内容をしっかり作り込むことで、ブランディングに成功している好例です。
水道直結式ウォーターサーバーや宅配水を主にオフィスや店舗向けに提供するウォータースタンド株式会社(旧:株式会社ジャスト)のWebサイトです。
主なコンテンツは以下の通り。
「企業の取組み」「環境活動」「環境とお水」と、CSRに関わるコンテンツを3本も立てている点に要注目です。「水」という、人や動植物の命の源となっている商材を扱う企業として、環境に目を向け、環境保全に注力しているというメッセージが強く打ち出されています。
導入を検討中のユーザーに向けたコンテンツも充実しており、導入へ向けた各フェーズでユーザーが求める情報が一通り揃っています。Webサイトを通して何をしたいのかが明確になっているからこそ立てられたコンテンツ構成でしょう。
前半は、飲料・食品業界のWebサイトに必要なコンテンツの一般論を、後半では、この業界に身を置くそれぞれの企業が、個別の戦略に沿ってどのようなコンテンツ設計を行っているかを実例として挙げ、ご紹介しました。Webサイトが貴社のもう一人の営業マンとして活躍してくれるよう、自社の戦略を、コンテンツを通してWebサイトへ反映させられるよう設計してみてください。
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