近頃はカスタマーサクセスに取り組む企業が増加傾向にあり、日本国内で行われるイベントも増えているように感じてます。そしてイベントに参加するとわかるのですが、似たような悩みを抱えている企業も非常に多いのも現実です。
そこで本日は、過去に4年ほどカスタマーサクセスをやってきたウェブタメ事務局メンバーより、カスタマーサクセスでよくあるお悩みと対策についてまとめました。ぜひ参考にしていただきたいのと、よろしければ皆さんの感じているカスタマーサクセス あるあるもぜひ教えて頂きたいです!
それではどうぞ。
まずはカスタマーサクセスの意味から改めておさらいします。カスタマーサクセスとは、顧客成果を追求することでLTVの最大化を目的とする組織や役割を指します。負うべきKPI指標としてはリテンション、解約率(チャーンレート)やアップセル・クロスセル、ユーザーのアクティブ率向上などが挙げられます。
SaaS商材などサブスクリプション型の課金形態と相性が良く、成果を出し続けることで継続課金や追加契約を生み出すことが最終的な目的になります。
「カスタマーサクセス 」という言葉が現れる前から同様の活動をしてきた企業も多いと思いますが、ここ数年で明確に言葉の意味が定着してきました。また言葉の定着とともに、部署や役割も明確に確立されてきた印象です。
カスタマーサクセスの期待役割としては、サービス導入の目的と照らし合わせた顧客の最大成果を生むことなので、プッシュ型のサポートとも言えます。また、カスタマーのサクセスは単一部署だけでの実現が難しく、各部署との連携も必要になります。
顧客のニーズを先回りして、各部署とも連携し、もっとも成果に繋がる提案を常にし続けることが求められるのがカスタマーサクセスの役割です。
カスタマーサクセスと類似用語の解説は下記記事を参考にしてください。
「カスタマーサクセス」「カスタマーエクスペリエンス」「カスタマーサポート」の違いを言葉の意味から解説!
カスタマーサクセスの概要について説明してきましたが、ここからカスタマーサクセスでよくある悩みとそれに対する対策例を解説したいと思います!
業界やクライアントにもよるのですが、普段やり取りをする担当者のレイヤーが低く、こちらの提案やKPI/KGIがキーマンや決裁者まで届かないことがあります。成果が社内で認識されておらず、経費削減などで突然の繋がることもあります。
対策:上長やキーマンを読んでもらえるような対策が必要。どうしても読んでくれない時のトークとして、「成果を上長に第三者として報告したいんです」「担当さんの負担削減のために他の人巻き込みましょう」など目の前の人のメリットを一生懸命に考えて引きずり出す方法がある。また、初回のMTGや契約の際は上長が現れるケースも多いので、その場でKGI/KPIと施策のロードマップは引き切った方がよう¥い。
例えばWebサイトのコンバージョン改善で、セッション数や離脱率の改善は順調なのにコンバージョンが増えないなんてこともしばしばあります。
この場合、ボトルネックが正しく把握できておらず、施策の打ち所が間違っている可能性があります。Webサイトでよくある話だと、集めるべきターゲットに見せるべきコンテンツを見せることができていないため、セッションが増えてもCVしない等です。成果に直結しないKPIは KPIではありません。真剣に見直しが必要です。
対策:カスタマーサクセスにも高度な知見や経験が求められる。カスタマーサポートの延長くらいに考えていてはなかなかサクセスできず、共倒れする。そのため顧客の成果を創出できるだけの高い戦闘力を誇る組織であるべき。また、立てるべきKPIがKGIに繋がっているかどうかは慎重に判断すべきである。
カスタマーサクセスの目的はLTVの最大化に置くことが多いのですが、顧客成果につながっているのに追加投資がなされないケースがあります。
成果がでているのに追加投資がないということは、クライアント自身もそれ以上のスピードで成長が見込めなくなってしまうので、できる限り成果を次の投資に回してほしいところです。
こういったケースでは、オンボーディングのタイミングで掲げた目標が低すぎるか、リマインドが足りず意識から離れてしまっている可能性があります。また、本質的なKPIになっていないこともしばしばあります。
対策:高い目標を掲げ、常にそれを言い続ける。そして長期的なロードマップを引ききった上で、なぜその追加投資が必要なのかを明確に伝える。この時、後出しにすると一気に説得力も減るので、事前にある程度は提案しきることが重要である。
こちらの提案に対しての手を動かすスピードが遅すぎるケースもよくあります。原因として、他の業務に圧迫されて手が動かせないという場合が多いのですが、緊急度と重要性をあげきれていないのが問題なので、改善が必要です。
クライアントの本質的な問題は何で、自分の提案内容がなぜ根本課題の解決に役立つのかを伝える必要があります。とはいえ、現実的な範囲にはなってしまうので、できる限りのスピード感で、という形になってしまいますが。
対策:緊急度と重要性を上げるために、まずは深いところまで課題をヒアリングする。表面的な課題に対してのソリューションではなく、根本課題に対してどういう意味があるのかを伝える必要がある。そして素直に、今のままだとどれだけ目標との乖離が生まれるのかを伝える。
カスタマーサクセスは最もカスタマーと近い存在なので、積極的に声を集め、社内にフィードバックすべきです。ですが、うまく仕組み化できていない企業も多いのではないでしょうか。
また、他部署からすればカスタマーサクセスの動きが見えなかったりもするので、提案がアップデートされなかったり、最新の事例を反映させた話ができていなかったりすることもあるかと思います。
他部署との連携にはカスタマーサクセスへの理解が重要です。連携を強めるために、カスタマーサクセス自身も積極的に動いていく必要があります。
対策:社内へのフィードバックはカスタマーサクセス側から行なっていく。そして重要なことは何度でも何度でもフィードバックする。顧客成果に責任を持っているカスタマーサクセスこそ上流に立って他部署へ影響力を持っていくべきで、意識して変わっていくしかない。
カスタマーサクセスが変わっていけば、他部署の見る目も変わり、コミュニケーションも少しは活性化する。まずは自分たちが変わるところから。
最後にこちら。私がカスタマーサクセスをやっている時に思っていたことです。社内的には純粋な営業など、売り上げをたくさん持ってくる部署の方が立場が高いことがありあます。実際給与もそちらの方が高かったりもする。そうなると、やる気のある社員ほどモチベーションが下がってしまうこともございます。
とはいえこれは何年も前に感じていたことで、今となってはカスタマーサクセスの立場はとても高くなってきていると思います。(カスタマーサクセスという言葉自体が広まってきている影響もあると思うので、改めて世の中の空気感って大事だなあとも思っていますが)
実際、カスタマーファーストやユーザーファースト、CXなどなど言われてる中、サブスクリプション型のビジネスモデルも流行ってきていて、世の中的にもカスタマーサクセスの重要性が増しています。
また、そもそもビジネスの本質はカスタマーのサクセスだと思っているので、カスタマーサクセスこそ責任とイニシアチブを持って事業を引っ張っていくべきだと思っています。
ちなみにこれは偉い偉くないの話ではなく、あくまでサービス改善や事業価値の向上のために、どういうスタンスでいるべきかという話です。また、そういったスタンスへの社内理解的な意味でもあります。
どんどん役割の重要度が増しているカスタマーサクセスは、これからますます花形の部署になっていってもおかしくないなと思う今日この頃です。
対策:確かに純粋な営業の方が目に見える数字を持ってくるのに目立ちやすいが、カスタマーに一番近いカスタマーサクセスへの理解こそ全社的に浸透させるべきである。そのためには、カスタマーサクセス自身が責任とイニシアチブを持って事業を引っ張っていくというスタンスが必要。
サービス導入後の対応は全てカスタマーサクセス、という状況がこれまで幾度となくありました。そしてなぜかチャーンの責任が全てカスタマーサクセスの部署に押し付けられることも。
対策:カスタマーのサクセスは単一の部署で行うのではなく、全社で行なっていくという思想が重要。カスタマーサクセスの頑張りだけではチャーン防止もアップセルも限界がある。カスタマーサクセスもなんでも受けるのではなく、断りを入れたり、全社的な視点でどの部署がやれば最も適切かを考える。
ここまでよくある悩みを書いてきましたが、そうは言っても現場にいるときは目の前のKPIの達成に必死で、ここまで冷静に考えることができませんでした。てかとても忙しかったし非常にしんどい時期もありました。
今となってはCSから少し離れて冷静になっている故、こうして頭の中の整理や振り返りができているのですが、当時は現場にも出っ放しで、毎月の予算を追っていたり、マネジメントしたり、とにかく走り続けていたので、立ち止まってを考えることができていなかったような気がします。
有名な話ですが、木こりが木をのこぎりで切るに当たって、ひたすら木を切り続けるのではなく、ある程度歯を研ぐ時間を取ることは重要です。自分にはそういった時間が少なかったなと。あとは歯の研ぎ方というか、全体的な進め方について相談できる人も少なかったのが大変でした。
だから今、まさに同じような悩みを抱えている人は、一度無理矢理にでも立ち止まって、あるべき姿や提供すべき価値を、トップも含めて考えてみると良いかもしれません。また、カスタマーサクセス系のイベントも増えているので参加してみるのも良いかと。
対策:一度立ち止まるか、離れて考えてみることも重要。イベントにも積極的に参加して、ノウハウも吸収すべし。なぜカスタマーサクセスを行なっているのか、理想的な状況は何か、改めて考える。
いかがでしたでしょうか。本日ご紹介したものと似たような悩みを抱える方も多いかとおもいます。
カスタマーサクセスはこれからもどんどん盛り上がっていきます。また、ウェブタメのユーザーに多いWeb制作業界も、今後はよりカスタマーサクセスの重要性は増していきます。
これから取り組もうと考えている企業様は、ぜひ参考にしていただければと思います!